海外ファンドコラム

元本確保の仕組み

ヘッジファンドのなかには元本確保の仕組みを組み込んだファンドもあり、人気を博しています。ヘッジファンドによる高い目標利回りに元本保証という安全弁がついているためです。

一番シンプルな元本確保の仕組みは、次のようなものです。
ファンドの募集が終了後、集まった元本の6割程度のお金でゼロクーポン債(米国の国債)を購入し、銀行へ担保として提供します。そして、銀行が担保と引き換えに満期日の元本を保証するという仕組みです。

ゼロクーポン債の利回りは常に変動していますが、5%と想定すると、
0.6×(1+0.05)の11乗=0.6×1.710=1.026
となり、約11年で元本を確保できます。

ファンドとしての運用は、残り4割の資金を使って行うわけですが、そのままですと運用額が少ないため、借り入れ等を行って運用額を増やすファンドもあります。

以上のような仕組みですので、満期までの期間はそのときの金利やゼロクーポン債を購入する割合によって変化します。また、ゼロクーポン債の利回りがある程度ないと現実的な元本確保を設計することはできません。

原理は同じですが、必要に応じてゼロクーポン債を購入する仕組みもあります。
まず、満期日に元本を確保するために必要なゼロクーポン債の額を全期間にわたって想定します。保証銀行は、ファンドの純資産額とその想定額との差を監視して、差が小さくなると運用資産の一部を売却してゼロクーポン債を購入するよう要求します。

具体的な例で説明すると次のようになります。

 (運用開始時)

純資産額:100   運用資産:100
            ゼロクーポン債:0
元本確保に必要なゼロクーポン債想定額:60
純資産額とゼロクーポン債想定額との差:40

このように、元本の全額を使って運用を開始します。運用資産は純資産額とゼロクーポン債想定額との差40の2.5倍です。以降、この倍率を保つようにします。

 (A期間後)

純資産額:90   運用資産:90
            ゼロクーポン債:0
元本確保に必要なゼロクーポン債想定額:63
純資産額とゼロクーポン債想定額との差:27

A期間を経過してみると、運用が思わしくなく運用資産の評価額は90に落ちました。また、ゼロクーポン債想定額は満期までの期間が短くなった分だけ上昇して63になっています。
差27の2.5倍は68ですので、運用資産22を売却してゼロクーポン債22を購入します。その結果、次のような資産構成になります。

純資産額:90   運用資産:68
            ゼロクーポン債:22
元本確保に必要なゼロクーポン債想定額:63
純資産額とゼロクーポン債想定額との差:27

運用資産は、差27の2.5倍の68に修正されました。

(B期間後)

純資産額:110   運用資産:87
            ゼロクーポン債:23
元本確保に必要なゼロクーポン債想定額:66
純資産額とゼロクーポン債想定額との差:44

さらに期間が経過してみると、運用が回復して運用資産の評価額は87に増えました。ゼロクーポン債の評価額もすこし上昇しています。
差44の2.5倍は110ですので、ゼロクーポン債23を売却して運用資産23を購入します。その結果、次のような資産構成になります。

純資産額:110   運用資産:110
            ゼロクーポン債:0
元本確保に必要なゼロクーポン債想定額:66
純資産額とゼロクーポン債想定額との差:44

再び、すべての資産が運用資産に戻りました。

このように、あらかじめ決めた方式でゼロクーポン債を購入したり売却したりします。運用が順調ならゼロクーポン債を購入する必要がなく、純資産のすべてを運用にまわすことができるので効率の良い方式です。

上記の例では、純資産額とゼロクーポン債想定額との差を2.5倍して運用資産額を決めていますが、倍率を1倍にすると最初に説明したシンプルな仕組みになります。つまり、この倍率は、どの程度の確実性で運用資産をゼロクーポン債に変換できると考えるかにより決まります。

i-visionCopyright2004 I-Vision Inc. All Rights Reserved.
プライバシーポリシー